当院では、高齢の方や外出が難しい方に向けて訪問マッサージ・訪問鍼灸を提供しています。

そのため、リラクゼーションとは少々異なる視点となりますが、施術を受けるにあたって「マッサージと鍼のどっちを選べばいいんだろう…」と迷う方に向けて、マッサージ・鍼の違いなどをまとめてみます。

また、寝たきり・脳梗塞後遺症・パーキンソン病の方に向けて、それぞれどのようにアプローチしているのか(どのような改善が見込めるのか)を解説します。

訪問鍼灸マッサージとは?

当院が提供する訪問鍼灸マッサージは国家資格者(あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師)が自宅や施設に訪問して施術を行うサービスです。

自力で通院困難な方が主な対象者で、健康保険が適用でき、定期的・継続的に施術を受けるケースが多い点が特徴です。

対象となる方の例

  • 寝たきり・歩行困難で外出が難しい方
  • パーキンソン病や脳梗塞後遺症で筋肉のこわばりや震えがある方
  • 慢性的な痛みやしびれに悩まれている方
  • リハビリと並行して体を動かしたい

マッサージと鍼(はり)の基本的な違い

訪問マッサージ

当院が利用者様の施術に入る際は、お身体の状況ヒアリングだけでなく、利用者様が何を求めているのか、施術を受けることがどのような変化を希望しているのか、などを考慮した上でマッサージか鍼か(もしくは両方か)を決定します。

ですので、現場ではケースバイケースなのですが、イメージして頂くために基本的な比較表を作成しました。

項目マッサージ
アプローチ方法手技で筋肉をもみほぐす細い鍼をツボや筋肉に刺す
主な目的血流改善・筋肉の緊張緩和神経・自律神経への刺激、深部のコリ改善
痛み基本的になしチクッとする刺激あり
即効性比較的早い継続で効果が出やすい
向いている症状筋肉の硬直・むくみ・リラックス神経痛・しびれ・不眠・パーキンソン症状

マッサージの特徴

メリット

  • 血流改善:寝たきりで動かせない部位の循環を促進します。
  • 関節可動域の維持:固くなりやすい関節をやさしくほぐします。
  • リラクゼーション効果:安心感があり、ストレス軽減にもつながります。

デメリット

  • 深部の神経症状へのアプローチには限界があります。
  • 根本改善というより「その場の楽さ」が中心になることがあります。

※機能訓練やストレッチを含めず、マッサージに焦点をあてていることをご理解ください

「安心感」や「ストレス軽減」は体の改善とは直接的に関係のないように見えますが、“継続”という観点や“利用者様の生活の質を高める”という観点では非常に大事なことだと思っています。

余談ですが、利用者様が私たちの訪問を楽しみにしてくださっていることは、この仕事の大きなやりがいとなっています。

鍼(はり)の特徴

メリット

  • 深部へのアプローチ:手技では届かない筋肉や神経に直接作用します。
  • 自律神経の調整:パーキンソン病による震え、不眠、便秘などの改善に期待できます。
  • 慢性的な痛み・しびれに強い:脳梗塞後遺症や神経痛のケアに適しています。

デメリット

  • 鍼への恐怖心や刺激への抵抗がある方には不向きな場合があります。
  • 効果を実感するまでに時間がかかることがあります。

メリットを言葉にすると上記の通りなのですが、実際のところ鍼には合う・合わないがあります。

たとえ深部までアプローチできて、マッサージよりもベターな選択という場合でも、利用者様の恐怖心や抵抗を拭えないようであれば、無理に取り入れないケースもあります。

毎週のようにお会いして施術を続ける上で、施術者との信頼関係や安心感はとても大切です。
「まずは1回試してみて、抵抗がなければ続けましょう」とお試しで様子を見るなど、無理なく取り入れることが必要です。

一方、施術に慣れている方からは「鍼やってから身体の状態が明らかに良くなった」と声を頂くことも多いのが鍼だったりもします。

対象者別のおすすめ

訪問鍼灸マッサージ対象者別おすすめ

寝たきり・外出困難な方

  • マッサージ:筋肉の硬直を和らげ、血流を改善します。
  • 鍼:しびれや痛みが強い場合に有効です。

パーキンソン病の方

  • マッサージ:筋肉のこわばりを緩和し、動きやすさをサポートします。
  • 鍼:震えや自律神経症状(便秘・不眠)にも対応可能です。

脳梗塞後遺症の方

  • マッサージ:リハビリと併用して関節の動きを維持します。
  • 鍼:しびれや神経痛の軽減に効果的です。

マッサージと鍼の併用も

実は「どっちか一方」ではなく、両方を組み合わせることで相乗効果が期待できます。
例えば、鍼で神経や深部のコリを緩め、その後マッサージで血流を促すと、回復がスムーズになります。

訪問鍼灸マッサージの対象となる場合、マッサージ・鍼のどちらも健康保険が適用できます。

健康保険の負担割合に則って料金が決定しますが、例えば1割負担の方ですと、1回あたり500円前後でマッサージを受けることができます。
マッサージ・鍼灸を併用する場合でも1回あたり1,000円以下で受けることが可能です。

まとめ

  • リラックス・血流改善 → マッサージ
  • 神経症状・しびれ・震え → 鍼
  • 複数の症状がある → 併用

前述したように、実際にはお身体の状態をヒアリングして、ご要望などを踏まえた上で施術方針を決めていく形となりますが、マッサージ・鍼それぞれの特徴はここまでお伝えした通りとなります。

訪問鍼灸マッサージは国家資格を持つ施術者が行います。
当然ながら、当院にはあん摩マッサージ指圧師・鍼灸師の国家資格を持った施術スタッフが在籍しており、全員が専門家です。

最初から「私の父は痛みがつらそうだから鍼がいいかなぁ」などと決めずに、施術者と相談しながら方針を決定していくことをおすすめします。

お悩みの場合は、お気軽にご相談くださいませ。

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