パーキンソン病は、手足の震え(振戦)、筋肉のこわばり、動作の緩慢さなどが特徴的な神経変性疾患です。
進行に伴い日常生活動作が制限され、リハビリやケアが重要になります。
その中で「マッサージ」は、症状の緩和や生活の質向上に役立つケア方法のひとつとして注目されています。
本記事では、パーキンソン病に対するマッサージの効果、具体的なやり方、注意点(禁忌)について解説します。
パーキンソン病に対するマッサージの効果
マッサージによってパーキンソン病の症状を直接治すことはできませんが、適切なやり方でマッサージを行うことで次のような効果が期待されます。
- 筋肉のこわばり緩和:硬直した筋をほぐし、関節の動きを助ける
- 血流促進:循環不良を改善し、冷えやむくみを軽減
- リラクゼーション:不安・ストレスを和らげ、睡眠改善にも寄与
- 可動域の維持:関節拘縮の予防により日常動作をサポート
効果一覧表
下記の表はパーキンソン病に限定した内容ではありませんが、パーキンソン病の方は筋肉のこわばり・浮腫・可動域の制限などに悩まされるケースが少なくありません。
そのため、パーキンソン病の方には特に、積極的にマッサージを取り入れるべきだと言えます。
(当院が提供するような訪問マッサージを利用している方は多いです。)
効果 | 期待できる変化 |
---|---|
筋肉の緊張緩和 | 動作がスムーズになり、転倒リスクの軽減 |
血流促進 | 足のむくみや手足の冷えの改善 |
リラクゼーション | 不安・不眠の軽減、心身の安定 |
可動域の維持 | 関節が固まりにくく、生活動作を補助 |
マッサージのやり方(自宅・訪問で実施可)

マッサージはご家族や介護担当者が行うことも可能ですので、下記にやり方を記載いたしましたが、事前に医師や専門家に相談することを強くおすすめいたします。
1. 揉みほぐし
- 対象部位:首・肩・腕・太もも・ふくらはぎ
- 方法:手のひらや指全体で、やさしく押しながら円を描くようにほぐす
- ポイント:強圧を避け、「心地よい」強さを守る
2. ストレッチを兼ねたマッサージ
- 対象部位:膝・肘・手首・足首などの関節周囲
- 方法:関節をゆっくり動かしながら周囲をさする
- ポイント:急激な伸張は避け、呼吸に合わせて小さく反復
3. リンパマッサージ
- 対象部位:足先→太もも、手先→上腕の順に
- 方法:リンパの流れに沿って、末端から中枢へ向かって軽くなで上げる
- ポイント:むくみ・冷え対策に有効。皮膚を擦らないようオイル等を少量使用可
4. 手足の末梢刺激
- 方法:手のひら・足裏を軽くもみ、指を一本ずつやさしくさする
- 効果:感覚刺激によるリラックス・血流改善
安全に行うための注意点・禁忌
パーキンソン病の方へのマッサージには、注意点があります。
例えば、血栓症の方へマッサージを行うことで、血栓移動→脳梗塞などを発症するリスクが存在します。
そのため、繰り返しとなりますが、医師の判断なしに、自己判断でのマッサージは非常に危険です。
個別の症状や治療方針によって、マッサージの導入可否は変わります。
私たちのような専門家であっても、主治医の判断のもと施術に入らせて頂いております。
記事の情報だけで判断せずに、まずは医師やケアマネに相談することがベストです。
禁忌・注意すべきケース
- 皮膚に傷・感染症:炎症や悪化の恐れ
- 深部静脈血栓症(DVT)疑い:血栓遊走のリスク
- 進行した骨粗鬆症:強刺激で骨折の可能性
- 高熱・急性疾患:全身負担が大きい
- 強い痛みのある部位:症状悪化の恐れ
実施時の基本ルール
- 開始前に医師・リハ専門職・ケアマネへ確認する
- 強さは「気持ちよい」を基準にし、痛みや不快感があれば即中止
- 一度に10〜15分程度を目安に、こまめに休憩
- 体位は楽な姿勢を選び、転倒や姿勢変換時の安全を確保
- 服薬時間(オン/オフ)を考慮し、動きやすいタイミングで実施
訪問マッサージの活用
通院が難しい場合は、国家資格を持つあん摩マッサージ指圧師や鍼灸師による訪問マッサージの利用がおすすめです。
医師の同意書があれば、健康保険を利用して1〜3割負担で受けられるため、継続しやすい点がメリットです。
安全管理や症状変化への対応も専門家が行うため、家族の負担軽減にもつながります。
まとめ
- パーキンソン病のマッサージは、こわばり緩和・血流促進・リラクゼーション・可動域維持に有効
- 基本はやさしい揉みほぐし・関節ストレッチ・リンパケア・末梢刺激
- DVT・皮膚疾患・重度骨粗鬆症・急性疾患などは禁忌や要注意
- 通院困難なら訪問マッサージを活用して自宅で安全に継続
Liko治療院では、パーキンソン病の方へのマッサージを得意としています。
経験豊富な施術者のみが訪問にてマッサージを行いますので、お気軽にご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の症状・治療方針は必ず主治医や専門職にご相談ください。